ねりなりねるな

ツイートするには長いくらいの文章

同人初心者がwebオンリーで同人誌を発行して自家通販した雑記

 

媒体:ピクリエwebオンリー

自家通販方法:booth匿名配送

本の種類:成人指定の漫画

※ところどころフェイク入れてます

 

〈目次〉

◆webオンリーの設定

◆原稿の描き方

◆入稿

◆梱包/発送

 

◆webオンリーの設定

期間:1日の終わりにできるのを×3日くらい


・イベント申し込み/支払い

webオンリーなので参加金額は1000円超えなかった。申し込みも必要事項を入力してクレカ登録orコンビニ支払い設定するだけなので5分くらいで終わる。


・お品書きの作成

イベント主催者様がテンプレを用意してくれたので全く苦じゃなかった。

テンプレダウンロード→本の表紙とか金額とかもろもろ書くだけで終わり。ありがてえ〜


・展示先リンクの登録

ピクリエ単体に作品を載せることはできないので、他媒体に作品をアップ→URLを記載の工程が必要。

今回は普段使ってるURLまとめサイトを改変して展示用ページとした。


・お店の外観設定

boothで改変可なテンプレをダウンロードしたので自分の絵を貼り付けるだけで完成した。ありがてえ〜

 

 

◆原稿の描き方

原稿期間:2ヶ月程、活動日は10日間くらい

(基本土日、うち4日間はお盆休みブースト/食うすらせずに寝る以外を原稿時間にあてていた)


最初はクリスタPROで作画していたけど、ページ管理が面倒すぎてEXを購入した。結果とても楽だった。

原稿サイズについて誇張なしに10回くらい調べた。今でも塗りたしとか正直よくわかってない。


・作画方法

描きながら話を考えるパンツァースタイル(最近知った言葉)だった。


①コマを3つに分けて3コマ漫画形式で話を描いていき、ページ数など気にせずにとりあえず話を終着させる

はじめは話を考えることに集中してコマ割りは後で考えるスタイルにした。


②作画ははじめから線画で描く

過去の経験からネームスタイルだと途中で飽きて完成しないので、後は仕上げだけ、くらいのクオリティではじめから描き始めた。

(言うても後々ほぼ描き直しましたが…)


③話ができたら読み直しながらコマ割りを考える

ページを追加削除したり前後させたり、コマの大きさを変えたりと、かなり自由にした。

このコマは枠なしブチ抜きのがいいな!とか、このシーンは2コマ増やそうとか、◯ページのこの絵は△ページに使おう、とか漫画というより図形パズルみたいな感覚で楽しかった。


④作画の描き込み

最初の段階でテキトーに描いていた顔や手や背景を描いていく。

なんだかんだ言ってほとんど描き直した。

けど顔や影や服を描き込むのは楽しかったし、この辺りは無限に時間が使える感覚がした。


トーン貼り/仕上げ

死ぬほど楽しくなかった。

唯一チンチンにグラデーショントーンとハイライトを入れている時だけは楽しかった。

それ以外は無。


⑥写植

楽しくない。タイピング辛い。


同人誌が成人指定の内容だっただけに、原作を読むと狂いが覚めてしまいそうだったので1ヶ月くらい原作読むのを禁じていた。

なのに一度設定を調べるために原作を読んでしまい、スルスルと一気読みした結果、案の定"狂い"から完全に覚めてしまい、自分の幻覚と向き合うのが辛くて仕方なくてでも締め切りが迫っているから腕は動かなさければならないという同人キモオタクしか抱えないようなメンタルの不調を迎えた。限界だった。

心を無にしてチンチンにトーンを貼り、心を無にしてオタク妄言セリフを打ち込み、心を無にして中身チェックしてなんとか脱稿した。

灯る気持ちは"推しカプのエロ本を出す"、その一心のみだった。

 

 

◆入稿

期間:割と半日くらい

チェック作業が割とかかったかも


・印刷設定

マットな仕上がりが好きなのでそれ系選んだ。

あんまり拘った仕様でもなかったので言うて複雑じゃなかった。


・栄光さんのセルフチェック入稿

自分で仕上がりを確認して入稿できるやつ。

メリットはよくわかってないが、当日ギリギリ入稿だったのでこっちのが早そうだしって気持ちで利用した。

ページ数、見切れ、写植など5周くらいは確認した。

それだというのに、最終的に下書きがデカデカと残っているという大ミスが届いた段階で発覚した(死)

同人初心者はプロに見てもらおう❗️❗️


・印刷サイトの登録とか

以前に一度利用したことがあったので省けて楽だった。また機会あったら同じ印刷所さん使いそう。調べるの面倒だし。

 

 

◆梱包/発送

期間:まる1日くらい


①梱包材を用意する(Amazonにて)

・本サイズの封筒

・板紙

・opp袋

・ppテープ

全部で3千円しないくらいだった。(サイズによる)


②boothで二次元コード発行

③封筒に注文番号と品数をメモする

④梱包する

 

いくら同じ動作をしても終わりが見えないので、途中から"いかに効率よく動かせるか"のみに精神を集中させており、気持ちは完全に仕事だった。

苦でした。(はっきり言うな)


ヤマト運輸へ持ち込む

調べるとコンビニよりも複数持ち込みがしやすそうだったので持ち込んだけど、想像していた5億倍気まずかったです。

一人で作業して後でスタッフさんに申し送りするのかな?くらいにしか思ってなかったのだけど、


タブレット二次元コードを読み込む

②印刷された紙の番号を封筒の番号と確認する

③封筒に紙を貼る


の作業のうちの③部分を常にスタッフさんが目の前で同時進行して行ってくれていたので、

ウン十枚をスタッフさんの手が止まらないように素早く工程を考えながら行うという共同作業のような時間が体感15分程ありました。


うちの近所の営業所だけかもしれない。

だってこの時間を他の自家通販の民たちみんなが常に経験してると思えないから……。


⑥発送通知を送る

おわり

 

※ちなみに初心者すぎて知らなかったのですが、「余部」という、50部(仮)で頼んで50部分のお金しか払ってないのに「作ってる過程であまりが出たので送ります」と10部(仮)追加で貰えるというみたいな夢みたいな制度があって、マジで調べても仕組みがよくわかんなかったのですが、おかげで頼んだ部数より多めに頒布できました。

なので梱包材は注文部数よりも多めに買っておくのが良いなと思いました、なにがあるかわからないしね(こなみかん)

 


◆ただの日記


仮に頒布価格が600円(仮)で印刷代・梱包代・手数料含めてちょい赤字くらいだったとして、450円(仮)くらいの値段設定にして頒布しました。

自分の中で納得した上でですが、どうしてこの値段設定にしたのかを書き留めておこうかなと。


そもそも、この本を頒布したアカウントは誰とも交流がなく、絵の投稿もほとんどなし(本のサンプル投稿だけ)という倉庫&告知用アカウントだったので、

「本がどれくらい手に取ってもらえるかわからない」「でもできるだけ多くの人に手に取ってもらいたい」

という気持ちが強くあったというのと、


「自家通販で送料が高いのでできるだけ金額を少なめに設定したい」「万一に値段が理由で躊躇ってほしくない」

という送料に対しての考え、


そして途中で一度、原稿に対しての感情が"無"になり自分の作品への肯定感が地の底まで落ちてしまった(これが一番大きい)。

その結果としてこの値段設定で頒布しました。


教訓としては

「自分の作品に自信を持てるようになりたい」

これに尽きるなとなりました。


倉庫スタイルについては今後も変わらない可能性が高いし、送料についての考え方も多分変わらない(あくまで頒布する側として気にしてしまうというだけで、購入する側の時は1ミリもびっくりするほど考えていない。だからここまで気にするのもアレかなと思うけど気にするものは仕方がない(開き直り))。


唯一後悔しているのは、値段設定の理由に自分の作品を卑下する気持ちがあったということだけです。注文管理をしている間、発送作業をしている間、今まさに向き合っている作品に対して、「こんな作品なんて…」と思いながら出した値段設定が乗っている、という事実にめちゃくちゃ引け目を感じました。


お盆休みブーストのプチ極道入稿ストロングスタイルだったにせよ、もう少し余裕と自信を持って本を出したいヨ〜〜!の気持ちになった、という雑記でした。

出来上がりを見たらちゃんと「この本、いいじゃん‼️」の気持ちになれたし……。

 

※ちなみに自分の中ではクソ赤字ですが、普通に似た条件で頒布している方もいることを確認した上での設定です。

こういう同人誌のお金云々どこまで書いていいのかわからん。最大限、内情よりも自分の感情メインで書きましたがヤバそうだったら教えてください切実に。


結局は自分の命を助けるために描いた同人誌なので、今後見返すたびに「描いて良かった〜」と思えるようになれたら嬉しいなと思います。

自分の二次創作に命助けられたこと何回もあるし。(自給自足が得意なオタク)

 


おわり

原作厨うるさ型オタクの映画ミスミソウ感想

映画ミスミソウの感想

 

小学生のころ人生で初めて自分のお金で買った漫画がミスミソウという、パンチの効いた読書初体験を果たし、それ以降10年近く人生の根幹にミスミソウが住み着いているオタクの感想文です。

 

ありがとう5割

原作改編に文句言ってる5割

 

・間宮と池川の原作再現具合がすごい

マジでこれに尽きる。

もはや原作の2人も好きだけど映画版の2人も好き、っていうレベル。凄かった。

 


秘密基地(?)での会話シーンのテンポ感と間宮の演技が絶妙で良いし、

池川の「キミの存在は(この環境には)毒だ 美しすぎる」は大大大好きなセリフなので最高の演出で登場させてくれてブチ上がった。

間宮の腸ボローンは原作でも「マジ!?」ってなるけど実写だと一層ギャグみたいになるな、と思った。でもあそこはタンマ!もあるしギャグ文脈で良いです。

 


ビジュアルも話し方も再現以上のものをお出ししてくれたので本当に良かった。

マジで良かった。ありがとう。

 


・遠慮なくゲロる先生

そこまでやってくれるんですか!?ってくらい先生がゲロってて良かった。

ミスミソウで好きなキャラは10年以上変わらず妙ちゃんと先生なのですが、先生のちょっと壊れちゃってる感じとか疲れ切ってる感じが"わかる"表現されててgood good goodでした。

 


・同級生の顔面が可愛すぎる

モブ女の顔面偏差値がノイズレベルで高かったように思う。

ド田舎のクソガキしかいない中に1人放り込まれた都会から来た美少女の野咲、というのがあのクラスのイメージだったので…顔面偏差値が釣り合ってちゃそこの印象って変わらない!?っていう…ちょっと解釈違いだったね…。

妙ちゃんは吊り目系じゃなかったけど気怠さ・孤高の狼感が演技で表現されていたので満足でした。

 


・相場がデカすぎる

キャスティング的にはわかる!!!初期の儚い美少年感からサイコパスの移り変わりってハマり役すぎるよな!!!と思ったけど、背も肩幅もめちゃくちゃデカくてビビってしまった。

こんなデカかったっけこの俳優さん!?って観てる間10回くらい思った。

 

 

 

シーンについて

 


・野咲の血だらけの口にキスするシーン

相場くんの歪んだ愛情の表現とか、血がキスで唇にうつる画のセンセーショナルさとか、魅せたいものはわかるしシーン単体ではめちゃくちゃ良いんだけど原作にない上にちょっと様になりすぎてるのが複雑だった(最悪感想)

 


・穴の中での反逆シーン

原作の構図が再現されてたのオオ!ってなった。

指を切るシーンは原作だと半分切れてるくらいだけど、映画だと全部スパッ!と切れてたので、そこはそうはならんやろ!となった。

三島が落ちて足割れて自滅するシーンも、原作だとかなり高いところから落ちてるけど映画だと言うての高さだったのでそれもエエ!?となった。そうはならんやろ…なるのか!?

あとかなり経った後に流美が様子見に行ったとき、めちゃくちゃに死体が見えていたので原作よりも「警察仕事しろ」感が勝った。

 


・野咲の武器の確保がその場その場すぎる

クギ→ペンチ→ボウガン全て雪の中から手繰り寄せて調達するのちょっとご都合すぎない!?となった。

特にペンチ(原作ではハサミ)は野咲が明確な殺意を持って持ち歩いてたものだからなんかな〜!!!

クギでの初めて雪の中から見つけた明確な殺意を、ボウガンで最悪の偶然として再現する、という繋がりだと思っていたので、

そこにペンチが仲間入りしたのは個人的に微妙な改変だった(うるさ型のオタク)

 


・妙子の小刀シャキーン!

逆に妙子の「お前なんでそんなもん持ち歩いてんの!?」感は原作でもあったし、さっきまでの塩らしさから一変して戦闘モードに変わるところ大好きなのでウケてしまった。

お気に入りシーン。

 


・妙子の服、何!?

真っ白な雪の中に野咲の赤い服と血、という図はめちゃくちゃ綺麗でしたが、妙子まで全身真っ白にする必要あるか!?

こんな田舎であまりにも前衛的なファッション、さすが妙ちゃんだぜ…。

 


・流美の服も、何!?

雪クソ降ってるのに…どうして絶対領域(死語)を…?

 


・妙子のCD推し

原作で妙子がずっと聴いてる曲が"流美が野咲からパクってきたCD"ということが判明するシーン、まじで原作読んで「ドエエエ〜!?!?」ってなったシーンなので、映画でこれでもかというくらいそこを推してくれて良かった。

監督もそこのシーンに脳を焼かれた1人なのかもしれない。

 


・流美について

髪の毛、原作だとボサボサのままじゃなくてある程度まる子ちゃんみたいに落ち着いてくるんだけど、映画だと切りっぱなしの前髪ガタガタのまま家でお母さんとほのぼの会話しているので「いやお母さんそれ放置するの!?」となった。

 


「ごああああ〜」が原作再現すぎてビビった。

「ああ流美ってこうやって喋りかけてたんだ…」と納得したレベル。

 


絵を描いてるシーンは良い原作改変だな〜と思った。

妙子への執着が言葉を介さずにわかるし、あのイラスト集が「小黒妙子!!!(殺意)」のシーンに繋がるのもなるほど〜になった。

 

・さいごに

原作のシーン・展開を最小限まで削ることなく詰め込み、かつ映画的な演出とやりたい表現はしっかりする、良い実写映画だった。

 

そもそも池川と間宮のキャスティング・脚本で5827715847億点/100点だし。

もし当時映画館で観に行っても同じ感想だったと思うから観に行けば良かったかも。

 

おわり

事前知識が希薄すぎるオタクがスラムダンクの映画を観て初見テンションで楽しんだだけの感想

 

令和4年12月3日に公開されました、【THE FIRST SLAM DUNK】を観てきました。


スラムダンクに関して桜木花道くんがゴリゴリのヤンキーだった時」しか記憶がないという、あまりにも事前知識が薄い人間なのですが、それでも観てきてしまいました。


他に鑑賞前に知ってたことはというと、数人のキャラクターのふんわりした概要のみです。


桜木花道くん

元々ゴリゴリのヤンキー。女の子が大好き。


・流川

めちゃくちゃ顔が良い。海外に行きたい。

 

・ゴリくん

いいからテーピングだ!の人。


・三井

ロン毛の不良。バスケがしたいです…!の人。


安西先生

諦めたらそこで試合終了ですよの人。目が綺麗。


・まだ慌てる時間じゃない人

多分映画には出てこない。

 

 

なぜこの認識の奴が映画を観たのか


元々、スラムダンクは中学の頃の図書室に全巻並んでおり、図書室に行く機会が多かった()私には馴染みのある作品でした。

 

しかし常に歯抜け状態だった為、今ある巻だけをところどころ読むことしかできなかった思い出があり、結局順番に読めたのは2巻まで。

スラムダンクとの付き合いは中学時代のそれきりでした。

 

面白い漫画だということも、自分が絶対楽しめる作品だということも知りながら、履修するタイミングを完全に失っていました。

(そもそも17歳辺りから新しいコンテンツを摂取する力が完全に衰えている)(終わり)


これをきっかけに履修したい!!という思いのもと、初めてのIMAXへの期待を抱きながら鑑賞してきました。


感想はというと、めちゃくちゃに面白かったです。

それはもうめちゃくちゃに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(映画の内容を振り返る顔)

 


以下、未履修オタクの普通にエピソード自体が初見の感想が続きます。

あたたかい目で読んでいただけると幸いです。

 

※キャラの名前を覚えていなかったり、脳内愛称で呼んだり、前後の展開を想像で補っていたりする部分があります。もしかしたら失礼と感じるかもしれません。すみません。

 

 

 

 

ヌルヌルの3Dアニメーション(?)で、兄弟がバスケをしているところからスタート。

動いている時は3Dっぽいのに、静止画は漫画調っぽい、独特の作画だなと思いました。

少し違和感はあったけど、物語が進むにつれて気にならなくなるんだろうな〜と観てました(事実気にならなくなった)。


オープニングがめちゃくちゃカッコイイ!!!


こういう漫画原作のアニメ化で、漫画っぽい演出入れてくるの超良いですよね。

音楽もカッコいいし、これはぜってーぜってー面白いぞ!と鑑賞10分で思わせられる"良さ"がありました。

 


鑑賞前に懸念点として「登場人物をほとんど知らない状態なので、把握していけるのだろうか?」と思っていたのですが、

その問題はオープニングで解消されました。


バスケが5人チーム制だったからです。

バスケってそうなんだ!!!(無知すぎない?)


主要人物が5人だけ、しかも花道くんと流川とゴリくんはぼんやり知ってるし、序盤に回想で出てきたリョータくんも知ってる。知らないのは短髪のキャプテンっぽい人だけ。

これはいける!と確信しました。

 


しかし再び困ったのが、

まさかの敵チームが全員坊主。


誰一人として髪伸ばしてないことあるか!?!強豪校なのに…(?)

一抹の不安に駆られましたが、山王にも一人一人の特徴と活躍があり、すぐに見分けがつくようになりました。

名前を覚えられたのは山王イチ名前を連呼されていたカワタさんだけでした。

 


これといった前置きはなく、試合がスタート。すぐさま臨場感に圧倒されました。

 

ドリブルの重い音、バッシュが床を滑る音。ゴール時の網にボールがかかる音、点の入るスピード感……。

 

本当に試合を最良の角度から観ているような感覚で、さっきまでバスケの試合人数すら知らなかった人間がその迫力に魅了されていました。

 

しばらくド迫力の試合シーンが続き、興奮しっぱなしでした。

 


ピョンの人が山王だった事実にも驚きました。ヌルヌルド迫力の試合中に行われる「ピョン」「ピョン!?」のやりとり、完全にシュールギャグの文脈でしたね。

漫画だとキャラがデフォルメされてたりで、きちんとギャグっぽいシーンでも、アニメの演出次第でシャールギャグになる現象、しばしばあると思います(?)(原作でどういう描写なのかは不明ですが)。

 


試合→回想→試合→回想という流れで、回想の中でそのキャラ一人一人が自分の根源を思い出したり活路を見出して活躍する展開でしたね。アツくて大好物です。


そして回想を観ていく中で5人の関係性もだんだんわかってきました。


まずゴリくんがキャプテンということ。

めちゃくちゃ良い人だということです。


初代(?)問題児三井、二代目(?)問題児リョータくん、そしてバスケ始めて4ヶ月(マジ!?)の新進気鋭の問題児桜木花道を引き連れてキャプテンをやっているゴリくん、フィジカルも根性も強すぎる。


そんなゴリくんも心無い言葉がメンタルを巣食ったこともあるのかなと、映画内のあの描写で思いました。人間味しかなくて好きです。

 


そして三井。予想を超えるゴリゴリの不良っぷりと、ロン毛のサラサラっぷりにビビりました。

後輩呼び出して殴らんといて!!!

IMAXだからか音が余計に響いていやでした。


からの、回想から戻るシーンで試合に出ている短髪のイケメンが元ゴリゴリ不良である三井ということが発覚し、二重にビビりました。


三井、めちゃくちゃカッコイイが…!?!?


そもそも不良時代のキャップを深く被って試合観戦している時の三井も「シャツパツパツじゃん…でっか…最高…」となっていたのですが、短髪爽やかスポーツイケメンになってたと聞けば話は別です。何が別なのかわかりませんが。とにかくアがりました。ド好みすぎて。


ゴリくん、三井、眼鏡くんが3年生で、りょうたくんが2年生。花道くんと流川が1年生なんですね。


流川はちょっと秀才っぽい感じだし、1年でスタメンもわかりますが、花道くんが4ヶ月インターハイスタメンなのにも驚きました。

まだ4ヶ月!?!?みたいな。

さすが天才桜木花道くんですね。


流川と花道くんが仲悪いのも「あ〜そういえばあったあった!」となりましたが、「三連覇強豪校相手で不仲やってるの!?!??」っていう驚きもありました。


というのも、インターハイ三連覇強豪校に勝つという事前知識はあったものですから、そこそこチームが完成してきた頃なのかな?という想定のもと観ていました。

 


が、それは逆で、ひとりひとり己の武器を理解し始めたり、各々の問題を解決した先の、デコボコだったチームの成長と誕生の瞬間がこの試合だったのかな?と思いました。(完全妄想)

答え合わせは原作を読んでしようと思います。


「流川がパスを出した!?」も衝撃で、「そんな全然完成してない状態での山王戦だったん!?」となったので……。

この人たち、明らかにまだまだ強くなるじゃないですか……。

 


ワンチャン三井も体力面って回復してないんじゃないのでしょうか(不良時代タバコを吸い体力が落ちたことは知っている)。

 

三井、途中からスリーポイントの亡霊と化しており、点を決める安心感だけは随一でしたが、いつ倒れるのか気が気じゃありませんでした。

 

「もうフラフラなのになんで立っていられる…」と言う山王プレイヤーに「禿同・・・」と心の中で相槌打っていました。

三井の行動源は映画じゃ深掘りされないですしね。(原作読め!)


この音が…俺を何度でも甦らせる!

のシーンは知っていたのでかっけ〜〜〜〜!!!(ドンドンパフパフ!!!)になりました。

 


あと名シーン繋がりで言うと

「流川、日本一になりたいのか?」「なるがいいさ、俺のいない日本でな」

バチバチに好きでした。

 

俺のいない日本でマン、マジでカッコよくないですか…????

そもそも顔面値が異常に高い、流川の一重逆まつげも好きだけど、日本でマンの端正な二重も好き〜!!!(一息)(キモ・オタク)


流川のライバル的な活躍を見せ、ずっと立ちはだかっていた日本でマンの弱点、"パスを出さない"という点を、花道に見抜かれてボール止められたシーンも良かったですね。(正確か自信ないので解釈違ったらすみません)


からの、パスを出せるようになった流川との読み合いで、"一人で抜くかパスを出すか"を日本でマンが読み兼ねているところに、「一つ忘れてないか?」スリーポイントを決める流川。


ッッッッッツケエ〜〜〜〜〜〜…。


流川vs日本でマンのストイックバスケ自信ニキ対決、ゴリvsマルゴリくんのフィジカル対決など、強豪校なのにライバル的描写があって良きでしたね。


お兄ちゃんに「怖くても心臓バクバクでも平気なフリをして戦う」ことを教えてもらったリョータくんに度々立ちはだかるのが、一切表情を変えず何を考えているか読めないピョンなのも良い……。

圧倒的強者感・・・。

 


桜木花道くんの素人だからこそ点差が開いてようが関係ないという鼓舞も良かったですね…。

度々劇中で「いかに相手の心を折るか」「メンタルの勝負だ」と言われていた中での桜木花道くんのチームに与えた働きは説得力もあってめちゃくちゃ良かったです。


しかもそれだけじゃなくて点めっちゃ決めるし。

バウンド?からのキャッチ率、カワタさんに対策されてたシーン好きです。

「あれ?まだいる」のところもめちゃくちゃ良いですよね。きちんと桜木花道くんという人間を分析して対策を実行した人間がその驚きなので…。

 


山王に勝つこと(というよりは負け試合を映画化しないだろうという想像で)はわかっていたのですが、そうだとしても山王の圧倒的実力者感、湘北に対して一切の手加減をせずコンスタントに戦う姿に「本当に勝てるのか…?」とハラハラしっぱなしでした。


何より壁が高く感じたのはゴール下のカワタさんですね。(こいつカワタさんの話ばっかしてるな)

あの人、映画内でのキャラ付けはマルゴリというのみで他の情報は試合内での強さしかないのですが、それでもめちゃくちゃ印象に残りまくってるので凄い。好き人物です。


しかも残り2分弱くらいで花道くん怪我しちゃうし。

怪我て!!!!!!!!!!


花道くんのピキッ!いて!でコミカルになってるのが唯一の救いでしたが、背中の怪我って劇中でもそこそこ重く扱われてた通りだいぶヤバいですよね…。


そしてあの残り10秒!

 

息を呑むってああいう状態のことを言うんだなと思いました。

湘北が逆転してこのまま逃げ切るのかと思いきや、喰らいつく山王、残り10秒での1点差。

絶望的かと思われた短い短い残酷な時間の中で、魅せた桜木花道と流川のパス・シュート……。


永遠にも思えた沈黙の張り詰めた空気が、二人のハイタッチで解放された瞬間は気持ち良さが半端なかったですね。

スラムダンク応援上映があったら全員あそこでスタンディングオベーションしてるでしょ。


ちなみに私の右下の席の人は点が入るたびに無音拍手してました(なんの報告?)


桜木花道と流川が4ヶ月の間にあったであろう衝突やいざこざを観測してからもっかい観てえ〜!!!

 


にしてもインターハイがいつどこまであるのかわかりませんが、桜木花道くんは背中の怪我をしてしばらく療養するだろうし、山王戦で奇跡の逆転という感じなので、今年は優勝できないとかは全然ありそうだなぁというちょっと切ない気持ちもありました。


インターハイ負けちゃったらゴリさんと三井と眼鏡さんって引退しちゃうのかな(原作読め!)

 


試合を一通り語ったので、沖縄の回想について語るのですが、

 

まず初手であそこまで死亡フラグを立てられるの凄いなと思いました。お兄ちゃんが船出に出るシーン。

全くストーリー知らんでも「あぁお兄ちゃんはこの後・・」と確信させる演出?セリフ選び?すごいな〜と思いました。


リョータくんのお兄ちゃん、中1であの身長って相当高くないですか?

今のリョータくんと3センチくらいしか変わらなかった気がする(そもそもリョータくんがそんな高くない方なんだろうけど)。

有望選手と言われてた通り、成長してたらタッパもそれなりにあったんだろうなぁと思って切なくなってしまいましたね。


あと妹ちゃんの終始明るい感じに救われてましたね。

少し遠慮のない発言もありましたが、あのお母さんとリョータくんと一緒に暮らすにはあれくらいの胆力がなきゃ一緒に潰れちゃっただろうなと思いました(誰目線???)。


人の死が絡んだエピソードなので当然ですが、回想シーンは割りかし重くて、観ている時は集中しているし見入っていたのでそこまで感じませんでしたが、どっと疲れるような濃味ではあったなぁという印象でした。

あと普通に岩場で雑誌見つけるシーンで泣きました。


あとちょくちょくリョータくんが"生意気"だったり"問題児"という評価を受けているのですが、私の初めて見たリョータくんがお兄ちゃんと純粋にバスケをしている姿で、時系列順に歴史を追っていった感じなので、私の中でのリョータくんははじめから「バスケが好きな家族想いの少年」って感じでした。


多分原作で初めて知るリョータくんはそうじゃないんだろうな〜と、ジャーマネの女の人がリョータくんの印象を言うシーンで思いました。

三井やゴリくん初見のリョータくんがまさに生意気グレ少年だしね…。

 

おわりに

 

今検索したらスラムダンク電子書籍がないらしいです。マジか。

ここ数年、家に置き場がないという悲しい理由で新刊は電子でしか買っていない私には悲報でしたが、アニメでも漫喫でも読む方法はいくらでもありますもんね。


よっしゃあ!!!次に山王戦を観る時は紙の上だ!!!(ドン!!!)


【めっちゃネタバレ】マスカレードナイト

犯人のネタバレスクロール後の初手でガッツリしてます

 

 

マスカレードナイト

2021/鈴木雅之/東野圭吾の小説を元にした原作第3部作の映画シリーズ第2弾。

ネタバレブログなのであらすじは書きません(クソ)

https://youtu.be/i24VaMuhULw

 

 

 

犯人救われなさすぎてさ・・・

ぶっちゃけひかるが凶弾されるべき点、無関係のまさみちゃんを巻き込んだくらいじゃないですか???
まず双子の妹がレイプされた後にセカンドレイプされて誕生日に自殺ってそりゃ闇堕ちもしますわって感じだし…。
両親も早くに亡くしてるんでしょ…?家庭環境も良いとは言えなさそうじゃん…。


からの妹の穴を埋めるために作った恋人に二度も二股されてるわけですからね。
まあ上手くいかなかった原因は妹の穴を埋めるためだったことにもある説はあるけど、犯行時にロリータ服着てるってことはひかるへの情は二人ともあった状態なわけだしね。それで子供作る女が悪いよ(過激思想)
貝塚も正直まあ自業自得なところはある、殺人犯を脅すという時点で(過激思想)


ラストシーンでキムタクも今日イチ吠えてたわけだけど、「そこまで言わんたげて…」とすら思った(もちろんキムタクにはキムタクの私情や信念があったわけだが)
ひかるの凶悪犯たるところは殺人まわりの用意周到さだよね。まあでも3年前の事件が本命の交際相手の自分へ辿り着かせず未解決にさせてるところを見ると、初犯から頭がよかったんだと思う。


というか正直、ひかるの最初の女性の演技と本人の性自認である本性の差がマジでよかった。

ひかる擁護みたいな吐露してんのはそれに尽きる、キャラ厨のため・・。
まさみちゃんを殺そうとしたとこ以外は好き〜〜!!!となりました。


てか、中根緑が教会で「実は夫は死んでいて…」みたいな吐露するシーンガチで事件に関係ないならいらねえ!!ってキレてました(唐突)
なんかめちゃくちゃ情報がどんどん出てきて犯人に近づきそう!!面白くなってきたあああ!!みたいなところで、全然事件に関係ない奴の自分語りが始まったので、ガチでハ!?!って思いながら見てたし、直前の中根緑が夫は死んでると告白するときとかの思わせぶりなBGMとかなんだったんだよ!!!!ってキレてた。


実際最後まで見ると、唐突に出てきた動機である双子の妹の存在や、犯行場所のヒントがここで一応回収されることとなって、重要なシーンだったんだなとわかるし""良""かった。

まあそれでも初見はみんなキレるでしょあそこ(特大主語)
色んな意味でインパクトあったから後から思い返しやすくはあったけど、フラグ回収の気持ち良さより怒りのが勝ってしまった…。キレるなキレるな。


いや〜〜にしてもマスカレードナイト面白かったですね!!!
順序としては完全に逆だけど、普通に本編の話をしようと思います!!!


・マスカレード系シリーズ一切未読未視聴
・そもそも邦画久しぶり
・ミステリ映画もあんま詳しくない


ということで完全フラットな状態で見た映画だったと思います。


なんかもう最初は情報ゼロからスタートして、ちんぷんかんぷんな断片的な情報だけが舞い降り、どんどんどんどん色々な宿泊者の動向を追いながら事件の真相が小出しにわかっていく感じ、めちゃくちゃ面白かった
場面転換が多かったけど個人的にはあんまりごちゃっとしてなくて、色々な場所で同時進行してるっていう楽しさがありましたね。


あとキムタクかっけ〜〜〜。
まさみちゃんかわえ〜〜〜。


どんどんあいつも怪しい、こいつも怪しい、となっていくわけですが、その怪しいと判明するまでのアプローチが個人で違ったのもよかったですね。
時にはクレカの番号、時には不倫、時には免許証など……。


一つの事件に警察一丸となって捜査している感じも良かったですね。

テルマンたちとの差も信念と信念のぶつかり合いという感じで。

(最終的にまさみちゃんの選んだ行動や、善人と信じた奴が犯人だった時点で警察側に傾倒した方が上手くいったのは間違いないのだけどそこまでの葛藤が良かったですよね。そう簡単にホテルマンとしての矜持も捨て切れるもんではないというのも書いている)


さきほどめちゃくちゃ文句言った教会の中根緑のシーンも、キムタクとまさみちゃんがそれぞれテルマンと警察のリスペクトをし合うのがエモエモだった
初見でエモエモだったのでシリーズを追ってる人からしたらドエモエモだったのかもしれん。


あと、「密告者」と「犯人」っていうキーとなる判明させるべき人物が分かれているのも良かったですね。
先に密告者が分かった時の、「えっじゃあ残りの犯人は誰なん!??」感…。


真面目に犯人候補の奴、ひさかべしかいねえじゃん!!!あの迷惑客!!!って思ってました。(今思うとなわけない)
まんまと性別男の犯人だと思ってたので、踊ってるシーンで「小さすぎん??こんな小さい男いたっけ???」って思ってました。
そしてその後のひかるがあまりに最高だったわけだけど・・。


ちなみに普通に時計の遅れてるフラグのこと忘れてて、まさみちゃんが死にかけてんのに踊ってる場合かーーーーーーーーーー!!!!!!(めっちゃいいけど!!!)って思ってました。


し、普通に年越しした瞬間、「人死んで終わりかよ・・・めっちゃ後味悪いじゃん・・」って本気で絶望してました(ミステリ初心者?)


「まあ感電死させる機械2人分なんか用意してないだろうし、まさみちゃんだけギリ生きるんだろうな。貝塚、ご愁傷さまです
と思いながらひかるの勝利宣言を聞いてました。(よく考えたらそんなエンド、キムタクが許すわけないだろ)


ハッピーエンドでよかったーーーー!!!


てか最後のまさみちゃんの「無理です!」ワロタ。
今まで無理という言葉を一切使わなかったまさみちゃんの初無理ですってことで綺麗にオチてはいるけど、キムタクが華麗にキッパリフラれたことはいいん???と思いながら笑ってました(前作を見ていないからキムタクからのフラグはうっすらあったのかな?)


恋愛関係とか一切なくて互いに互いのリスペクトをしあう信念の関係だと思っていたので、強引にディナーに誘うキムタクにニヤニヤが止まらんかった。

 

あとあのホテルチェックしにきたロスの奴、あまりにタイミング悪すぎるだろ!!!あれホテル長みたいな人気づいて止めててくれ(泣)

オチとか物語的には必要なんだろうけど実際の事件での迷惑具合を考えたら最後笑って流せるレベルじゃないだろ(?)

 

にしても音楽の雰囲気も良かったな〜〜。
前作も見ようかな?と思うレベルだった。
というか多分見ると思う。

 

よかったです!!!

 

ブラッドハーレーの馬車を一気読みしたら感情の着地点を見失った

ネタバレはないですが人によってショッキングな内容があるので注意してください。

 

ブラッドハーレーの馬車

沙村広明氏による漫画。全1巻。


少女達の残酷な運命を様々な人物の視点から描いたオムニバス形式の作品。

 

大体のあらすじ
孤児院で暮らす少女達は、毎年孤児を何名か引き取っているという「ブラッドハーレー家」の養女として選ばれることが憧れであり夢だった。
しかしそれは全くの嘘で、孤児達が実際に引き取られる先は高い塀に囲まれた刑務所であった。
孤児達は囚人の性欲求・破壊衝動の捌け口として入れられ、その生涯を終えていたのだった。

 

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大体こんな感じ。(画像:いらすとや)


あらすじからキツイ

良い作品だけど救いがない為に勧める人を選ぶ。
絵も上手いし構成も良いので、うまい漫画よる後味の悪さを楽しめるタイプの人間にはオススメの作品だと思う。

 

オムニバス形式なので各話ごとに新たな登場人物が出てくるのだが、世界観を把握すればするほど「この先この人物に救いのある展開など待っていないんだろうな」ということが嫌でも察せていくのがツラい。

 

この作品は1.2話と3話以降で後味の悪さが少し違うように思う。


1話、2話は直接的で残酷な描写が多い。
囚人達に囲まれる少女や、その少女が暴行によって衰弱していく様など、目を覆いたくなるような描写が多々ある。

そこへの胸糞の悪さが割と大きい。

 

しかし3話以降は、1話と2話であったような直接的なシーンは全くと言っていいほどなくなる。

その理由は、1話と2話は刑務所に入れられた孤児達視点の話なのだが、3話以降はその孤児達を取り巻く様々な人間視点での話がメインとなってくるからである。
そのため、孤児達視点ではわからなかった世界の実情、残酷な制度がまかり通っている理由などが徐々に浮き彫りになってくる。


そこからが個人的にはかなり面白い

「そうくるのか」の連続で登場人物が嵩むたびに後味の悪さだけではなく面白くなっていった。


刑務所に送られる孤児達も3話以降は直接的な暴行シーンなどはなく、主に描かれるのは「刑務所に送られるまでの出来事」である。
そして共通して出てくるのが「ブラッドハーレー家のお屋敷行きの馬車」である。

 

刑務所に入る孤児達は全員その馬車に乗るのだ。

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様々な少女が、様々な思いを抱えながら馬車に乗りこむ。少女たちは皆行く先が地獄だとは夢にも思わず、新天地への期待と不安を抱いている。

読者はその馬車の本当の行き先を知っているし、その先で行われていることも知っているのだが、胸に期待を膨らませて馬車に乗り込み出発する彼女達の背を見送ることしかできないのだ。

彼女達のその後がどうなったのかは描かれない。描かれないが、知っている。

この後味の悪さ、なんとも言えなさがたまらない

そんな漫画でした。うまいまとめ方が思いつかなかった。

 

以下蛇足

漫画の内容には関係ないけど作者のあとがきと作品のギャップがありすぎて感情がめちゃくちゃになりました。


例えるならダンサーインザダークを観た後のエンドロールでコミカルなNG集が流れ出したみたいな感じ。

読了後、様々な感情が頭を巡り、このなんとも言えない気持ちの着地点を探したいという思いですぐあとがきに飛びついたんですけど、結果感情が着地点を見失って墜落しました。

でもこのあとがきのお陰で読了後すぐにこの文を書けたみたいなところがあるので結果的に良かったです(?)

 

つまるところブラッドハーレーの馬車、良い作品でした。

あんまり勧められないけど、良かったら結構色んなところで試し読みできるので読んでみてください。共に墜落しましょう。

 

おわり

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

以下ネタバレで、各話の感想殴り書き

既読の方は良かったら読んでください。

 

1話 見返り峠の小唄坂

どう考えてもエロくはないよなあ……(あとがきを見て)

最初だし軽いジャブと思いきや全体で見ると重い右ストレートの部類だった話。

ラストの「何ちょっと良い話風にしとんねん」は1話だから許せたことだと思う。

 

2話 友達

初見では「なるほどなあ…」って感じだったけど、全部読んでからこの作品の中ではエグい部類だったことがわかり、軽くトラウマ。

解釈のキーとなるのは壁の向こうの友達であるプリシラだと思う。

プリシラに「一週間生きていればブラッドハーレー家に行ける」ことを知らされたステラは6日間生きたあと死んでしまう。

しかしその後の展開で6日間生きたことは異例中の異例だったことがわかる。

果たしてプリシラは本当に一週間の話を聞いていたのか?

彼女は袖を切り裂かれたことを本当は許しておらず、ステラを生かそうとしていたのはのちに出てくる「希望を持たせて耐え難きを耐えさせる」ためだったのか?

それとも本当にステラにただ長生きしてほしくて励ましていたのか?

そもそもプリシラというのはステラの罪悪感が見た幻覚だったのか?

全部ありそう。

「連日独り言のように呟いていた」という文章だけじゃ本当にプリシラは居たのかもしれんし……。

なんにせよって感じですね…はい…。

 

3話 ある追憶

「え〜〜こんな感じで少女が酷い目に遭っていくのかな〜〜とすればこの漫画の終着点はどこなんだ????」と思っていたところのこれ。

うわ〜〜〜〜辛〜〜〜〜〜えでも良〜〜〜〜になった話。「あ、実際に養子になるパターンあるんだ」ってなった話でもある。

この話だけ読んでも良さそうレベルでまとまりが綺麗なんだけど、やっぱ1話2話を読んできているからこそフィリパの今後を思ってめちゃくちゃやるせない気持ちになるんだよな。

 

 

4話 家族写真

一番か二番目に好き。刑務所の雰囲気がショーシャンクの空にっぽいなと思った(私は刑務所系の話をこれくらいしか観たことないのでそう思ってるだけかもしれないし、本当に参考にしてるのかもしれない)

囚人目線の話というのが初見は意外だった。

クリフ、お前は知りすぎた……。

娘の写真が出てきた時点で嫌な予感がしてたんだけど、暴動シーンは悲しくも好き。トマス目線で逆さになった親子が倒れていく描写は印象的。

「このまま二人で死ねたのはいっそ良かったんじゃないか」とまで思ってしまった。本当に良いのかはわからない。

なんか署長っぽい人が謎の眼鏡の若いイケメンなのだけ違和感あってウケた。幹部(?)なのかもしれん。

 

5話 絆

全体的にまとまりが綺麗な話。3話のある追憶と同じでこれだけ読んでも良さそうの部類。

選ばれた人を妬んだみたいなのは2話の友達と通ずるところがあるんだけど、妬みというよりかは「彼女は初めからそのつもりで孤児院に来ていた」というのが違くて良かった。

手紙で告げられる真意。彼女とその母親にとってはブラッドハーレー家に行くことが人生の全てで、母親はルビーを貴族の娘にする為に自殺をするし、ルビーも友に手をかける。

数々の犠牲の上に見事成功したそれが、地獄への道標だということも知らずに。

やるせねえ〜〜〜〜。

時代の被害者だよ彼女たちは。(まあ貴族の娘になりたいからといって無理矢理な手段取りすぎでは?というアレもあるけど……)

 

6話 澱覆う銀

読み方わからなくて調べた。おりおおうらしい。

4話の家族写真と同じくらい好きな話。

1.2話と比べると本当に同じ作品内で描いた???ってくらいなんか違う。

それと同時に5話までハッピーエンドを諦めていた人格が「うわ〜〜〜〜ハッピーエンドであってくれ〜〜〜」と暴れた話である。

結局バッドエンドなんですけど・・。

もうアービング氏が脱出を企てた辺りから「いやいやいや無理だろ出れるわけないじゃん!えーっでもマジで出るの!?本気で出ようとしてんの!??うわ〜〜成功してくれ(無理だろうけど)〜〜」みたいなぐちゃぐちゃの感情になってすげーパラ読みしてしまった。

一回最後まで読んでからもっかい戻った。後悔している。

アービング君」の後の署長と銃を見たアービングの顔がマジで忘れられない。

いつもシーツで首を絞めていたリラが、最後にアービングから受け取ったマフラーで首を強めに締めるのがかわいい。悲しい。

この話だけやっぱちょっと他とベクトル違うよね。

本当に"友達"と同じ作品ですか?(そうだよ)

 

7話 鳥は消えた

おおおおおお前も馬車に乗ってしまうんか〜〜〜〜い!!!!!

となった作品。

刑務所に行くレスリー見たくなさすぎるだろ。やめてくれよ・・・・。

今までもこんな風に真実にたどり着いた養女がいたんだろうなあ…。

 

8話 馬車と飛行船

綺麗にまとめたよ♪みたいな話。

「え、これ後1話で終わるの???ブラッドハーレーはどうなるんだ???」って思ってたから、時が経って戦争が始まって〜の説明を聞いて「なるほど」となった。

1話の見返り峠の小唄坂に出てきた女の子も出して綺麗な感じにまとまってるし、「なるほど」の回だった。

ブラッドハーレー側の人の心情が描かれているけど、この辺りはいやまあう〜んって感じだった。

実際に被害に遭う側の人間と貴族側の人間じゃ思うことは違うんだなと思った。当然だけど。

結局ラスト2ページで描かれている通り、実際の多数の被害者を出したこの計画も、世界的に見ればこんな感じの文章でまとめられてしまうんだよなって、なんかうまく言えないけど…(マジでうまく言えてないな…)

今まで実際に密接に関係してきた人間の動向ばかり見ていたから、ラストのオチがすごく客観的なのに今までとのギャップを感じて着地点を迷った(良い意味で)。

そこからは上に書いた通りあとがきで墜落した。

 

オムニバス形式っておもろいな〜〜(どういうまとめ方?)

 

おわり

【アンディという男】ショーシャンクの空に

U-NESTからめちゃくちゃ薦められるので「ショーシャンクの空に」を視聴しました。

以下、作品情報とネタバレ含む感想です。

 

ショーシャンクの空に/The Shawshank Redemption (1994)

監督:フランク・ダラボン

ジャンル:ヒューマン・ドラマ

あらすじ:妻とその愛人を殺害したとして終身刑を宣告された男アンディは無実の身ながらにショーシャンク刑務所に投獄されてしまう。劣悪な環境でも彼は持ち前の頭脳で仲間からの信頼や刑務所での立ち位置を確立していく。

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感想:お話が綺麗で面白かった

とても綺麗にまとまっていて、後味の良い作品だと思いました。

 

正直、ラスト寸前までこの作品の感触はいまいちでした。

というのもまず、この物語はドマイナスからスタートします。主人公のアンディが無実の罪で無期懲役判決を食らい、しかも投獄された先のショーシャンク刑務所はあまりにも劣悪な環境だったからです。

そこから何か根本的に良い方向に変わるわけでもなく、この先の人生が「刑務所で死ぬ」か「廃人になってから仮釈放される」かの二択であるままに、あれよあれよと20年も経ってしまいます。

この絶望的な状況下でも、アンディは必死に耐え、「希望」を語り、外を出た後の夢を話します。

私にはこのアンディという男が何を考えているのか全くわからなかったです。

 

アンディが気持ちで何とかしようとするタイプなら納得ですが、そうではなく彼は聡く賢い人間だったのでその不可解さは一層でした。

「希望など考えるな」と諫めるレッドや、仮釈放の末に自死を選んでしまったブルックス、この刑務所にすっかり馴染んでしまった男たちの言うことの方がわかるし、理解ができました。

つまり私は他の囚人たちには感情移入ができて、主人公であるアンディには一切の感情移入ができないまま、物語をラスト近くまで迎えてしまったため「最後にこの作品を面白かったと言えるのかな」と不安になったのです。

 

ですが結局その不安は杞憂に終わりました。

アンディの脱獄です。脱獄と言っても突発的なものではなく、20年間準備に準備を重ねて行った計画的な脱獄でした。

今まで彼の理解の追いつかなかった行動の全てが、その脱獄に繋がっていたということが段階を追ってわかっていったのです。

囚人達目線でずっと物語を見ていた私は、アンディの希望を捨てないスタンスはそういうことだったんだとここで腑に落ちました。

しかもアンディはただ脱獄しただけではなく所長の隠し持っていた財産を全て手に入れて刑務所の悪事も告発するので、勧善懲悪による最高のカタルシスも得られて良いです。

 

長々と書きましたがつまり「アンディ何考えてるのかわからん。なんで希望を盲信してるんだ」から「アンディやるなあ」にラストで変わってめちゃくちゃ面白かったよ、という感じでした。

希望は捨てなければ報われるんだということをアンディや作品を通して言われた気がしましたが、囚人に感情移入したように今現在捻くれた人生を送っている私はそれは聞かなかったことにしました。(それが一番いいとこじゃないのか?)

綺麗な伏線回収、見事な逆転劇の物語でした。

 

蛇足ですが、アンディの脱獄があんなに感動的なのは、あまりにもショーシャンク刑務所の環境が劣悪であったことも理由の一つだと思います。

 

ショーシャンク刑務所での刑務官の囚人に対する非人道的な扱いは酷いものでした。

まず序盤に、恐怖に泣いてしまった新人の囚人の男が刑務官からの暴行の末に殺されてしまいます。かなり序盤にです。普通に引きました

次に、度々アンディを襲っていたヒールであったところのボグズが、アンディの刑務所での立場が確立し始めた頃に刑務官にリンチされて生涯流動食しか食べられなくなります。最低な奴だったとはいえ仕打ちがエグすぎて引きました。

犯罪を犯した囚人であるとはいえ、人間に対してここまで残酷でいいのか?と思った記憶があります。

 

所長は本当にクズなのですが、自身の悪事を隠すために殺すという理由がわかりやすい一貫したクズだったし、最後の自殺が勧善懲悪パートに一役買っているのでいいかなと思いました。(よくない)

 

・おわりに

この映画はきっと何度見ても面白いタイプの映画なので、初見では伏線回収の驚きが大きかったところを、二回三回見て物語の深さに浸るのもいいかもなと思います。

必死に生きるか、必死に死ぬかです(ド影響)

 

おわり

【倫理とは】テッド2

モーガン・フリーマンの出演作品にあったので「テッド2」を視聴しました。

以下作品情報とダラダラ言ってるだけの感想。

 

テッド2/Ted 2(2015)

監督:セス・マクファーレン

ジャンル:コメディ

あらすじ:人権を剥奪されてしまったテッドがジョンや弁護士と一緒に訴えを起こす。

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感想:めちゃくちゃで面白かった

 

前作を見たのが多分3年前とかで、ほとんど覚えてなかったのでこんな下品でブラックだったっけ!?と二作目にも関わらず戸惑った。

 

でもテッドが人間として生きてるのがすでに自然に感じてしまって、前作であった「可愛いクマが下品なこと言って人間みたいに生きてる」っていうギャップ的な面白さも薄れて、マジで序盤は「全員下品で最低な登場人物がヤク吸ってる話」にしか見えなかった。

 

テッド人権問題でようやくそういやクマのぬいぐるみだったなって感覚を思い出した。助かった。

 

というか今回の話が人権やレイシズムに関することで、この作品がこういうテーマを扱うの!?!と驚いた。

前回がどんなテーマだったのか覚えてないけど…。

精子バンクでの看護師のセリフとか一発アウトだろ。

 

それで1時間半くらい経ってテッド2を見始めた動機をも忘れていたので、突然のモーガン・フリーマンの登場にめちゃくちゃビビった

テッドも言ってた通り声がめちゃくちゃ渋くて良いよね。

モーガン・フリーマンをきちんと知ったのは3日前くらいなんだけどこういう映画に出るような俳優さんには見えなくてあらためてウケた。

 

内容はぐちゃぐちゃで面白かった。

悟空とかまでいたし、悟空金的食らってたし

映画をもっとよく知ってたらもっと笑えたネタも多かったんだろうなと思う。

 

前作もそこまでオモロ!!!ってわけでもなかったので、今作もなんかしながら娯楽として楽しむには良いなって感じでした。

下品とブラックが好きな人には変わらず合う作品だと思う。

 

おわり