前に一度途中で見るのを断念した「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を最後まで視聴しました。
以下、作品情報とがっつりネタバレ含む感想です。
ダンサー・イン・ザ・ダーク/Dancer in the Dark (2000)
監督:ラース・フォン・トリアー
ジャンル:ミュージカル/ドラマ
あらすじ:工場で働くセルマは女手一つで一人息子のジーンを育てていた。そんな彼女は遺伝性の目の病気を患っており、いずれ同じように視力を失ってしまうジーンの為にお金を貯めていたのだった。
感想:「面白かった」とは言えない
つまらなかったというわけではなく、ただ視聴後すごく重い気分になる映画でした。
正直、見て後悔してないともきっぱり言えないので人に薦める映画ではないなと思いました。
良い作品だとは思います。
・とにかく救いがない
この映画はミストやセブンのようにオチで落とすということはなく、絶望からスタートして、更なる絶望に向かい、絶望で終わるというあまりに救いのない物語でした。
それを"良い"と楽しめる感性もなかったので、とにかく合わなかったという言葉に尽きるのですがひたすらに全部見るのが辛かったです。
一度、ビルがセルマの長年貯めてきた金の隠し場所を知るシーンで、後の展開を想像してしんどくなって見るのをやめてしまいました。続きを見たのは映画を6本挟んだあとです。
セルマの友人がめちゃくちゃ良い人で、そこだけが本当にこの映画の救いでした。ビルは地獄に落ちて。
・完全空想のミュージカル
ミュージカル映画であることは知っていたのですが、まさか「現実をミュージカルで表現しているのではなく、ミュージカルシーンは全て主人公の頭の中の空想」だとは思わなくて面食らいました。
初めてのミュージカルシーンは工場でセルマが仕事中に空想に耽ってしまうところでした。曲が終わったあと彼女は明らかにハッと覚めた顔をしていて、しかもその後耽っていたことが原因で大きなミスをしてしまう。つらい。ミュージカルシーンですら楽しめたもんじゃない。
ジェフとの線路の上でのミュージカルシーンは、風景も綺麗だし歌詞も切なくて好きでした。
ビルを殺害した後のミュージカルシーンは混乱したセルマが必死に自分を落ち着かせているようで本当に見ていられなかったです。
・ラストに引き込まれた
死刑が決まった後からの演技は本当に迫真で惹きつけられました。辛いのに目が離せなくて、息を呑んで見ていました。
107歩のミュージカルシーンは残酷かつこの作品の中でも一番にくるものがあって、緊迫感で潰れるかと思いました。
最後の歌ははじめてセルマの歌が空想ではなく現実で歌われたシーンだと思います。凄く好きなのですが、歌の途中に死刑が執行されて無音の世界にセルマの首吊り死体がぶら下がっている画はこの映画の最悪を表していて軽くトラウマです。
・おわりに
強烈に記憶に残る名作だけど、とても体力を使うので二度目は見れるかわかりません。ビルの顔を見たくないのでもう見ないかもしれないです。
ラストの緊迫感は随一でした。
もう一つの結末で「ジーンの手術が失敗したのを知ったセルマが絶望の中死んでいく」というのがあったらしいのですが、それはさすがにやりすぎだろと思いました。
おわり