U-NESTからめちゃくちゃ薦められるので「ショーシャンクの空に」を視聴しました。
以下、作品情報とネタバレ含む感想です。
ショーシャンクの空に/The Shawshank Redemption (1994)
監督:フランク・ダラボン
ジャンル:ヒューマン・ドラマ
あらすじ:妻とその愛人を殺害したとして終身刑を宣告された男アンディは無実の身ながらにショーシャンク刑務所に投獄されてしまう。劣悪な環境でも彼は持ち前の頭脳で仲間からの信頼や刑務所での立ち位置を確立していく。
感想:お話が綺麗で面白かった
とても綺麗にまとまっていて、後味の良い作品だと思いました。
正直、ラスト寸前までこの作品の感触はいまいちでした。
というのもまず、この物語はドマイナスからスタートします。主人公のアンディが無実の罪で無期懲役判決を食らい、しかも投獄された先のショーシャンク刑務所はあまりにも劣悪な環境だったからです。
そこから何か根本的に良い方向に変わるわけでもなく、この先の人生が「刑務所で死ぬ」か「廃人になってから仮釈放される」かの二択であるままに、あれよあれよと20年も経ってしまいます。
この絶望的な状況下でも、アンディは必死に耐え、「希望」を語り、外を出た後の夢を話します。
私にはこのアンディという男が何を考えているのか全くわからなかったです。
アンディが気持ちで何とかしようとするタイプなら納得ですが、そうではなく彼は聡く賢い人間だったのでその不可解さは一層でした。
「希望など考えるな」と諫めるレッドや、仮釈放の末に自死を選んでしまったブルックス、この刑務所にすっかり馴染んでしまった男たちの言うことの方がわかるし、理解ができました。
つまり私は他の囚人たちには感情移入ができて、主人公であるアンディには一切の感情移入ができないまま、物語をラスト近くまで迎えてしまったため「最後にこの作品を面白かったと言えるのかな」と不安になったのです。
ですが結局その不安は杞憂に終わりました。
アンディの脱獄です。脱獄と言っても突発的なものではなく、20年間準備に準備を重ねて行った計画的な脱獄でした。
今まで彼の理解の追いつかなかった行動の全てが、その脱獄に繋がっていたということが段階を追ってわかっていったのです。
囚人達目線でずっと物語を見ていた私は、アンディの希望を捨てないスタンスはそういうことだったんだとここで腑に落ちました。
しかもアンディはただ脱獄しただけではなく所長の隠し持っていた財産を全て手に入れて刑務所の悪事も告発するので、勧善懲悪による最高のカタルシスも得られて良いです。
長々と書きましたがつまり「アンディ何考えてるのかわからん。なんで希望を盲信してるんだ」から「アンディやるなあ」にラストで変わってめちゃくちゃ面白かったよ、という感じでした。
希望は捨てなければ報われるんだということをアンディや作品を通して言われた気がしましたが、囚人に感情移入したように今現在捻くれた人生を送っている私はそれは聞かなかったことにしました。(それが一番いいとこじゃないのか?)
綺麗な伏線回収、見事な逆転劇の物語でした。
蛇足ですが、アンディの脱獄があんなに感動的なのは、あまりにもショーシャンク刑務所の環境が劣悪であったことも理由の一つだと思います。
ショーシャンク刑務所での刑務官の囚人に対する非人道的な扱いは酷いものでした。
まず序盤に、恐怖に泣いてしまった新人の囚人の男が刑務官からの暴行の末に殺されてしまいます。かなり序盤にです。普通に引きました。
次に、度々アンディを襲っていたヒールであったところのボグズが、アンディの刑務所での立場が確立し始めた頃に刑務官にリンチされて生涯流動食しか食べられなくなります。最低な奴だったとはいえ仕打ちがエグすぎて引きました。
犯罪を犯した囚人であるとはいえ、人間に対してここまで残酷でいいのか?と思った記憶があります。
所長は本当にクズなのですが、自身の悪事を隠すために殺すという理由がわかりやすい一貫したクズだったし、最後の自殺が勧善懲悪パートに一役買っているのでいいかなと思いました。(よくない)
・おわりに
この映画はきっと何度見ても面白いタイプの映画なので、初見では伏線回収の驚きが大きかったところを、二回三回見て物語の深さに浸るのもいいかもなと思います。
必死に生きるか、必死に死ぬかです(ド影響)
おわり